「なんだか、すごく眠い……。でも、嫌な感じじゃないんです」
セッションを終えたあと、ソファに深く沈み込みながら、あるクライアント様がポツリと仰いました。その表情は、まるで長旅を終えてわが家に帰り着いたときのような、深い安心感に満ちていました。
今日は、Unfolding Bodyworkのあとに訪れることがある「心地よい疲労感」の正体についてお話しします。
あなたが着込んでいる「見えない鎧」
私たちは日々、無意識のうちに「見えない鎧」を身にまとっています。
職場で求められる役割、だれかの期待に応えようとする自分、あるいは都会の喧騒から自分を守るための緊張。それは単なる筋肉のコリではなく、社会という戦場で生き抜くために身体が作り上げた「防衛本能」の現れです。
あまりに長くその鎧を着続けていると、身体は「重いのが当たり前」になり、自分が緊張していることさえわからなくなってしまいます。
私も20代前半ですでに腕が上がらないほど、背中が緊張していました。まるで背中に鉄板が入っているようで、寝ていても寝返りを打つことができず、睡眠も浅い状態でした。寝てもスッキリしないばかりか、寝て起きると疲れているという状態で、それが続いているので当たり前だと受け入れていました。
当たり前だと思いつつも、身体は辛いので、マッサージや鍼灸に通うのですが、「治してもらい」に行っているのに、3日すら楽な状態が続かないというのを繰り返していました。「なんだかおかしい」という微細な違和感がありましたが、「こんなものだ」という思考の癖がかき消してしまっていました。
「揉み解す」のではなく「紐解く」ということ
Unfolding Bodyworkでは、強い圧で無理やり筋肉を揉みほぐすことはしません。
なぜなら、無理な刺激は、身体にとって「攻撃」とみなされ、さらに鎧を固くしてしまうことがあるからです。
私たちが大切にしているのは、身体の声にじっと耳を傾けること。
繊細なタッチで「もう、守らなくても大丈夫だよ」という安心感を伝えていきます。すると、身体は自ら内側からフワッと緩み、固く閉ざしていた鎧のボタンを一つずつ外していくのです。
これが「Unfolding(紐解き)」のプロセスです。
なぜ、心地よい「だるさ」がやってくるのか
鎧を脱いだあとに感じる、あの独特のだるさや疲労感。
それは、身体が「再起動」しているサインです。
今まで「鎧(緊張)」を維持するために使い続けてきた膨大なエネルギーが、一気に解放され、全身を巡り始めます。常に「オン」の状態だった神経が、ようやく深い「オフ(休息)」へと切り替わったとき、身体は「あぁ、やっと休めるんだ」と気づき、深い眠りを誘うようなだるさとして現れるのです。
それは、身体が本来の自己治癒力を取り戻し、バランスを整え直している「嬉しい変化」の証でもあります。
鎧を脱いだあとに、見えてくる世界
セッションを終えてサロンを一歩出たとき、空の青さがいつもより鮮やかに見えたり、地面を踏みしめる足裏の感覚が驚くほどクリアになっていたりすることに気づくはずです。
鎧というフィルターを通さず、ありのままの自分で世界に触れる感覚。
それは、あなたが本来持っていた「軽やかさ」そのものです。
もし今、理由のない重だるさを感じているのなら、それは身体からの「もう鎧を脱ぎたいよ」というサインかもしれません。
一度、その重荷を置いて、ゆっくりと羽を伸ばしてみませんか?
あなたの身体が、本来のスペースを取り戻すお手伝いをさせていただきます。