私たちは日々、膨大な「言葉」の中で生きています。
「ああすれば良かった」「明日はこう言おう」。
悩みというものは、常に言葉の形をして私たちの脳を占拠しています。
しかし、言葉は「細分化」の象徴です。心と身体を切り離し、問題を分析しようとする脳の働きそのものです。今回は、その言葉という縛りから解放され、心身の「全体性」を取り戻すための、最もシンプルで強力なワークをご紹介します。
「理解」の限界を、振動で突破する
Unfolding Bodyworkでは、身体の中に停滞している「言葉にならない何か」を大切にします。
前回の記事で触れたように、頭や肩の緊張が取れないのは、そこに「行き場のないエネルギー」が固まっているからです。
それを「ストレスだ」とか「トラウマだ」と言葉で分析し、理解しようとする必要はありません。なぜなら、分析した瞬間に、それはまた「脳の産物」に変わってしまうからです。
必要なのは、その固まりを「ただの振動」へと還元してしまうことです。
ワーク:脳をバグらせる「ハミング・センサー」
滞りを見つける
軽く目を閉じ、今、自分の身体の中で「なんとなく重い」「詰まっている」と感じる場所を一つ見つけます(喉、胸、お腹など、どこでも構いません)。
「んー」と響かせる
口を閉じたまま、鼻から抜けるように「ん〜〜〜」と低くハミングをします。このとき、音を外に届けるのではなく、内側の「滞っている場所」に向かって音を当てるようなイメージを持ちます。
振動の「解像度」を上げる
音を出しながら、その振動が身体の組織をどう揺らしているかを観察します。
「胸のあたりで響きが止まるな」「お腹に響かせると、音が少し変わるな」。
その微細な変化を追いかけている間、脳は「言葉で考えること」ができなくなります。脳の情報処理機能が、純粋な「振動センサー」として使われるため、思考がバグる(一時停止する)のです。
言葉を振動に溶かす
もし頭の中に不安な言葉が浮かんできたら、その言葉さえも「んー」という振動の波に乗せて、身体の中で揺らして溶かしてしまいましょう。
思考の「点」が、身体の「面」へと広がる
「んー」という微細な振動は、迷走神経を通じて脳に「今は安全だ」というサインを送ります。
言葉という「点」で問題を捉えていた思考が、振動という「面」の感覚に包まれるとき、私たちは自分という存在を、再び一つの「つながった全体」として感じることができるようになります。
わかろうとしなくていい。
ただ、自分の身体から生まれる振動を聴き、それにゆだねる。
その心地よい「バグ」の先に、分析では決して辿り着けない、身体本来の静けさが待っています。
次回の予告
次回(最終回)は、これまで磨いてきたセンサーを使い、いよいよ「未完成な自分を、直接触れることで完成させる」プロセスに入ります。
Unfolding Bodyworkがなぜ「タッチ」を大切にするのか、その究極の理由をお話しします。