身体にアプローチしているのに、心身のあり方が変わるのはどうして?という質問をよくいただきます。その問いに答える前に、まず慢性的な症状の原因はどこにあるのでしょうか?
慢性的な症状の原因は「思考の癖」
Unfolding Bodyworkでは、「思考の癖」が原因だと考えています。そもそも自分のオリジナルの考え方というものは存在しません。いまのあなたの思考は、親や育ってきた環境、周りの人、本やニュースなどの影響を受けています。つまりだれかの思考を詰め合わせたものを引っ張り出してきて、自分が考えたと思っているだけです。なにかの新しいアイデアも、そのほとんどが既存の要素を新しく組み合わせただけで、ゼロから生み出したものではありません。
つまりあなたの考えではないものを、あなたのものだと鵜呑みにしているのです。わかりやすくするために少し言い換えると、自身の価値観ではないものを自身の価値観だと思い込んでいるということです。本当は好きじゃないものを好きだと思い込んでいたり、本当は嫌いじゃないものを嫌いだと思い込んでいたりするのです。もう少し具体的には、本当はやりたくないことをがんばって続けて体調を崩す人がいます。がんばることはいいことで、社会人として当然だと考えているのです。その考えは本当に自身の考えでしょうか? それでもがんばり続けていると、身体を痛めてしまったり、心が傷だらけになったりして動けなくなってしまいます。
思考の癖が生む「ねじれのメカニズム」
そういった思考の癖が起こると、思考と感情、感情と行動、行動と習慣の間に次々とねじれが起こり、結果的に身体に症状として現れます。例えば、「本当はAが欲しいのに、周りがBがいいというのでBを取る」ということがあったとしましょう。思考はBを進めてきますが、本当のあなたはAが欲しいのです。しかし、あなたは思考が優位な世界に生きているのでBを選びます。本当に欲しいものを選ばない理由は思考がたくさん考えだしてくれるのでとりあえず納得しますが、感情は傷ついたままです。そして、同じことを繰り返すことで感情はズタボロになってしまいます。そして、気づいたら「Bがいいに決まっている。Aが欲しいなんてバカだ」のような態度になってしまいます。あなたは感情が傷ついていることに気づいていなくても、自然と感情が傷つかないようにあなたは行動を変えてしまいます。「AかBか選べることで傷つくのなら、そもそも選択肢にAを入れない」ようにすれば、傷つくことは避けられます。これは防衛反応でもあります。これが感情と行動のねじれです。そして、この行動のねじれが習慣化し、結果的に身体の症状として現れるのです。

身体からのアプローチと「自発的な気づき」
思考の癖が長い時間をかけて、身体の症状として現れています。あなたの思考が身体に形として現れているのです。カウンセリングを受けたり、自己啓発本を読んだりしても変われないのは、形として現れている身体をそのままにして思考だけを変えることはできないからです。前回の記事の「ジャッジしないパワー」に書いたとおり、Unfolding Bodyworkでは生命全体を捉えていくなかで、思考の癖が身体の緊張として形となり現れているのを感じていきます。そして、身体にアプローチしてその緊張が自発的に緩んだときに「気づき」が起こります。この点がほかのボディワークと大きく違う点です。自発的な気づきがきっかけとなって、思考の癖を手放しねじれを解消するプロセスに入っていくのです。このあとのプロセスについては、企業秘密です。書いてしまうと、人はそれを読んで思考で理解したつもりになってしまいます。経験していないことをわかったつもりになってしまうのは、思考の癖によるものです。この記事が思考の癖を生んでは本末転倒です。
ねじれの解消から始まる変化
身体にアプローチすることで、心身のあり方が変わるのは、ボディワークを受けることでねじれが起こるプロセスから解消するプロセスへ入るからです。行動パターンが変わり、感情のパターンが変わり、思考のパターンが変わります。人によってそのプロセスにかかる時間は違いますが、クライアントさんに会うたびに、表情や雰囲気が変わっていることに驚かされます。世間一般には人は変わらないという話を聞きますが、そんなことはありません。人は変わることができます。ぜひ、「私も変われるんだ」を体験しにきてください。