以前、友人のボディワーカー(ロルファー)のセッションを受けに行ったとき、最初にセッションの意図を聞かれたので、「バランスを崩せるようになりたい」と言ったことがあります。普通は骨格と重力が最適化することで、バランスを取れるようになることを目的にして行くので、逆にバランスを崩せるようになるという意図に驚いていたようでした。これは意地悪で言ったのではなく、本当にバランスを崩せるようになりたかったのです。
15年もボディワークをやっていると、生活からバランスを崩さずに保てるように取り組んでしまいます。自身がバランスを取り戻す経験がクライアントに役に立つので、それはボディワーカーとして必要最低限のことだと考えています。しかし、その生活が続くと、自らバランスを崩すことはしようとしなくなるのです。それはそれで行動が制限されてしまい不自由さを感じてきます。本当の意味でのバランスは、いい状態を保つことではなく、いい状態とそうでない状態を自ら選べるようになることだと思うのです。
なぜ、私たちは変われないのか?
私たちは教育や環境から得た経験を積み重ねることで、じぶんを形成していきます。そして、じぶんをアップデートしようと、自己啓発本を読んだり、セミナーに出たりします。しかし、思ったようにアップデートできていないと感じることはないでしょうか? 自己啓発本やセミナーは、著者や講師の成功パターンであって、自身のパターンには合わないというのもありますが、人によっては、一時的なモチベーションアップに留まり、どんなに素晴らしいことを習ったとしても、数回実践しただけで、じぶんには合わないと決めつけてしまう人もいるようです。結局のところ、変わりたいと思いながら変われないのは、じぶんの「壊し方」を知らないからです。
じぶんを壊したところで、なくなるわけではありません。これは創造的破壊です。これだけ社会や環境が激変してくると、これまでのじぶんに執着して「〜ねばならない」「〜しなければならない」とじぶんを縛り続けるのは、環境に適応しないと決めるようなものです。そのため、苦しみが増えてきます。これまでのじぶんに執着し続けるより、流れに任せてじぶんを変えていける力を身に着けることが楽に生きていく術だと思うのです。
環境に適応できないと淘汰されるのは自然の摂理です。いつまでも同じ椅子に座り続けようと必死になり、すでにその椅子の脚が折れたり腐ったりしていることに気づいているけど知らないフリをするのもいつか限界がくるでしょう。周りには魅力的な椅子がたくさんあるので、気軽にぴょんぴょん跳ねながらいろんな椅子に座りに行くのを楽しめるようになるほうがいい気がします。
身体が教えてくれる「じぶんの壊し方」
これまで築いてきたじぶんをどうやって壊せばいいのでしょう。そんなことはできないように感じるかもしれませんが、人はいつでも変わることができます。しかも、難しくはありません。長い時間をかけて身体に形として表現されている、その形が自発的に変わっていけばいいのです。
Unfolding Bodyworkでは、この身体が自発的に変化していくのをサポートしています。形が変わることで、これまであなたを縛っていた制約が解き放たれ、変容が始まります。このボディワークのセッションは、あなたが古い椅子から飛び降り、新しい物語を始めるきっかけになるでしょう。