「心と体の繋がり」
この言葉を耳にしたことはあっても、それを実際にどう感じ取ればいいのか、わからずにいる人は多いのではないでしょうか。学問として、心理学は心を、解剖学は体を、それぞれ個別に深く探求します。しかし、その二つがどのように密接に結びついているのかまでは、教えてくれません。
私たちは、つい心と体を別々のものとして捉えがちです。しかし、心身一如という言葉があるように、私たちの生命は、心も体も、分かちがたく一つに繋がっています。
Unfolding Bodyworkでは、この「生命全体」をホリスティックに捉える上で、インドの伝統医学に古くから伝わる「5つのエレメント（元素）」という概念を大切にしています。
「分ける」ことで増える苦しみ
現代では、複雑な概念を細かく「分ける」ことができる人が頭の良い人だと言われています。昔の人は、物事を「分ける」ことによって「名前」がつき、その「名」が「病む（なやむ）」ことで、「悩み」になったと言いました。
私たちは、より詳しく理解しようと、どんどん細分化を進めてきました。しかし、それに比例するように、苦しみもどんどん増えているのが現実です。
例えば、大昔は、「頭が痛い」「怪我をした」「お腹が痛い」といったシンプルな症状しかなかったかもしれません。しかし、医学が発展した今では、病気の数は1万種類、10万種類とも言われています。
これを見てわかるように、医学が発展すればするほど、病気が減るのではなく、病気の「種類」が増え、その症状に悩む人も増えているのです。
だからこそ、私たちは、心や体、魂に分けるのではなく、生命全体を一つの統合されたものとして捉え直すことで、心身にアプローチしていくことが重要だと考えています。
大自然と響き合う、私たちの「5つのエレメント」
5つのエレメントとは、「空（くう）」「風（ふう）」「火（か）」「水（すい）」「地（ち）」のこと。
これは、宇宙や大自然を構成する5つのエネルギーの質を表しています。そして、私たちはこの大自然の一部として、この5つのエレメントをすべて内包していると考えられています。
最も特徴的なのは、このエレメントが、目に見える「体」と、目に見えない「心」とを繋ぐ、非常に重要な概念であること。
私たちは、心と体を別々に捉え、それぞれにアプローチしようとしますが、それはまるで、複雑に絡み合った糸を無理にほどこうとしているようなものです。絡まった糸は、力を加えれば加えるほど、さらにきつく絡み合ってしまいます。しかし、エレメントという視点から、その糸の質や流れを感じ取ることで、どこからほどけば良いのかが分かるようになります。エレメントは、この絡み合いを、あなたの内なる力で自然にほどいていくための「手がかり」となるのです。
日本には、中国から仏教を通してこの5つのエレメントの概念が伝わっており、**「五大（ごだい）」**と呼ばれています。神社仏閣で見かける五輪塔も、この5つのエレメントが表現されています。
学問の限界を超える「体感」
学問は、物事を細かく分解することで、その本質を深く見ていきます。しかし、生命という統合された全体を「心」「体」「魂」などに分けることで、全体像を見失ってしまうこともあります。
Unfolding Bodyworkを実践する私たちは、自然の中で過ごすことをとても大切にしています。なぜなら、自然の中でエレメントのエネルギーを肌で感じ、そこから多くのことを学ぶことを大切にしているからです。
Unfolding Bodyworkにおける「エレメントの読み解き」
セッションの時、私たちはクライアントの身体に現れているエレメントの状態を確認します。それは、目で見るというよりも、「感じ取る」という感覚に近いものです。
- 身体の感覚から: 具体的な症状がある場合は、その症状が対応するエレメントをヒントにします。
- 言葉と動きから: また、クライアントが話している内容やその声のトーン、さらには話しているときの身体の動きや癖なども、どのエレメントの状態を表しているかを見ていきます。
このように、私たちはエレメントという視点を通して、クライアントの心と体が今どんな状態にあるのかを丁寧に読み解いていきます。だからこそ、エレメントの概念は、心身にアプローチするための重要な羅針盤となるのです。
エレメントの旅の始まり
このシリーズでは、一つひとつのエレメントについて、その特徴や、心と体にどのような形で現れるのかを詳しくご紹介していきます。
次回は、全ての始まりであり、最も根源的なエレメントである「空」について紐解いていきましょう。あなたの心と体の声を聞くための、新しい羅針盤となるエレメントの旅を、ご一緒できることを楽しみにしています。